数理モデル、と題名にあるが数理モデルは一切出てこない本。数理モデルを作るときのやり方ってルール作りにも共通点があって、数理モデルが失敗するときの知見を応用できるのでは?という考えの提示に近いかも。
というかこれ、『チェンジ・ザ・ルール』の失敗事例付きまとめじゃないかな?
認知心理学・制約と制限・認知心理学などの対古典経済・経営学へのカウンターとして出てきた理論、また、ルール制定の失敗例を用例や論文を用いて紹介し、それらが既存のルールの失敗としてどう表れてきたかを事例紹介し、それらの知見をもとにどのようにルールというものを組み立てていけばよいか、というのをまとめた本だった。
「ルールはこういう風に作れ」という点の言及についてはかなり少ないが、ルールを作る際の「こうやって作ったルールはこういう失敗事例があるよ」という「やるべからず集」のように感じた。
最後の最後に提言として著者なりのルール設計の型を紹介しているが、そこ以外にはほとんど事例紹介が中心で、どちらかといえば実践集というより、先行研究事例からの発展と提言を重ねる、まさにアカデミックな論文みたいな文書構成だった。
事例の方も取り出すモノがかなり面白いものばかりなので、淡々となりがちなこの手の構成としてはかなり読みやすいものではあるが、実用書と思って手に取ると「ちょっと違うな」を感じるかもしれない。(ていうか、俺がそうだった)先行研究事例を整理するタイプの論文があるけど、あの系統を読んでる時と同じ感触だった。
「事例は面白い……面白いし文章構成もうまいけど今求めてんのはそっちやない……!」という気持ちになりながら読んでたので、同著者の他の本も読んでみたいなーと思わせられるような本。できれば実用体系に近いやつだといいなあ。
指標・特徴量の設計から始める データ可視化学入門 データを洞察につなげる技術
正直、事例が間に差し込まれまくって目が滑ったので、主張のまとめとしての著者インタビュー眺めるのが一番いいかもしれない。
なぜ、人は想定通りに動かないのか。『RULE DESIGN』の著者、江崎さんに聞く社内ルールのあり方
みんなルール作りをナメているんですよ (笑)